
特定技能制度
1.制度の概要
特定技能制度は、深刻な人手不足に直面している産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるために創設された制度です。日本語能力や技能試験など、一定の基準を満たした外国人が、労働者として日本の企業で働くことができます。
この制度は「技能移転」や「研修」ではなく、実践的な労働力の受け入れを目的としており、日本経済の安定と国際的な人材流動性の確保を目指しています。
- 参考:特定技能制度について
2.制度の目的と意義
- 深刻な人手不足の解消:生産年齢人口の減少により、人材確保が困難な分野の即戦力を補います。
- 技能実習制度修了者のキャリア継続先としての受け皿:技能実習2号修了者が、試験免除で特定技能1号へ移行できる仕組みにより、制度間の連続性を保ちながら外国人材の長期的活躍を促進する。
- 実践的な就労機会の提供:外国人材にとっても安定した就労・生活機会を提供する。
4.対象者・在留資格
特定技能制度の対象者は、18歳以上で、特定の技能と日本語能力(N4以上)を有する外国人です。技能実習2号を良好に修了していれば、試験免除で特定技能1号に移行可能です。
| 区分 | 特徴 | 在留期間 | 家族帯同 | 必要条件 |
|---|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 一定の専門性・技能を有する | 最長5年間 | 不可 | 技能試験・日本語試験に合格または技能実習2号修了 |
| 特定技能2号 | 熟練した技能を有する | 無期限 | 可能 (配偶者・子) | 上位技能試験合格 |
支援体制の2種類
- 自社支援:企業が自ら生活支援を実施
- 登録支援機関:登録支援機関に委託(2023年末時点で主流)

5.特定技能に関わる関係機関
| 関係機関 | 役割 |
|---|---|
| 受入れ企業 | 雇用契約締結、労働条件の管理、生活支援責任を負う |
| 登録支援機関 | 日本語支援、生活相談などを代行支援(法務省登録制) |
| 出入国在留管理庁(入管) | 在留資格の審査・発給・管理を行う行政機関 |
| 試験実施機関 | 分野別の技能評価試験・日本語試験を実施 |
| 送出機関(海外) | 人材の募集・教育・送り出し(※政府間取決めがある国のみ) |
※技能実習と異なり「監理団体」は存在しません。
6.受け入れの流れ
- 技能評価試験・日本語試験に合格(または技能実習修了)
- 国内外での求人・マッチング(国外は送出機関を通じ、国によっては推薦が必要(例:ベトナム))
- 雇用契約・支援計画の作成
- 在留資格申請(建設分野の場合は国土交通省への申請が必要)
- 入国・雇用開始
- 帰国または特定技能2号等への移行

7.よくある質問(FAQ)
【制度概要】
Q1.特定技能の準備期間は?
国内外で異なりますが、一般的に2〜6ヶ月程度です。
Q2.就労期間は?
特定技能1号:最長5年、2号:無期限(家族帯同可能)
Q3.スキルは?
多くは技能実習からの移行者で、職種に必要な技術と日本語力を持っています。
【日本語力】
Q4.日本語レベルは?
N4程度または3年〜5年の就労経験者で、日常会話は可能です。
【雇用・労働条件】
Q5.雇用形態は?
日本人と同様に労働契約を締結し、社会保険にも加入します。
Q6.残業や休日出勤は?
36協定により、所定の範囲で可能です(上限あり)。
Q7.有給休暇は?
労働基準法に基づき、一定日数の有給休暇を取得させる必要があります。
Q8.給与水準は?
同等の職種で働く日本人と同等以上。全国平均は月額約22万円。
Q9.病気・ケガ時の補償は?
社会保険・労災保険の対象となり、民間保険加入も可。
【生活・転職】
Q10.転職は可能?
はい、自由に転職が可能です。ただし、転職先は当該分野の技能試験に合格している必要があります。